動物を学ぶ

動物を飼うことで、人はひたむきな愛情にふれる喜びを知り、自らも彼らに向けて惜しみなく愛情を注ぎます。
しかし、真に愛するということは相手をより深く理解することにほかなりません。
私たちはより科学的に、より客観的に愛すべき動物を見つめ、理解を深めたいと考えます。動物を学ぶ。甘えのないこの姿勢が、私たちの次なる行動をあるべき方向へと導いてくれるのです。

■動物栄養学

動物には、動物の食べ方がある、ということ。

日本では、ヒトの栄養に関する情報はふんだんに発信されているが、ペットの栄養に関する正しい情報は極めて乏しい。栄養は諸刃の剣で、健康や美しさ、長寿の源泉になる反面、これを誤るとまったく逆の結果を招いてしまう。動物の栄養知識の研究と、それを動物愛好家に向けて情報発信する必要性は、動物とともに暮らす社会の大きなニーズである。

■生理学

ヒトが変えたこと、決して変わらないことを見極める。

数千年の間、ヒトと共同生活をしてきた歴史がイヌの食性や生理を変えた。もはやイヌは肉食動物の枠を越え、多少の雑食に耐えられるようになってはいる。しかし、ヒトのように穀類や野菜の消化が得意なわけではないから、ヒトにとって理想的な食事でもイヌとってはふさわしくないこともある。つまりイヌの生理を正しく理解しなければ、健康は語れないのだ。

■動物行動学

最良の友となるために、探求すべきこと。

イヌはあらゆる動物の中で最も豊かなボディランゲージを持ち、ヒトの心を読む天才でもある。この特異な行動様式を持つイヌの心理を探索し、正しく理解することは、イヌのしつけを成功させる必須の手引きとなる。イヌが最良の友となるか、家族や世間のもてあましものになるかは、イヌをどれだけ理解するかにかかっているといえるだろう。

■育種学

遺伝子の可能性を追求し、次代のイヌを創造する。

世界には300種を超す犬種が存在する。大きさや姿だけでなく、猟犬、牧羊犬、警備犬、盲導犬、救助犬など、人間に奉仕できる能力もさまざまだ。オオカミという単一の形態の先祖から、どうやってこんなに多種多様なイヌが作られたのか?イヌの遺伝子の可能性を探り、明日のイヌづくりに応用するのが夢と期待に満ちた育種の世界である。

■遺伝学

解明進む遺伝学の成果が、不思議を越える。

育種を効率良く進めるためには、遺伝子の解明とそれを次代に伝える仕組みを知らなければならない。“瓜のつるになすびはならぬ”も真実だが、“鳶が鷹を産む”かのように見える現象もある。遺伝の研究を進めると、面白さと恐ろしさが共存するミクロの舞台に遭遇することになる。