子イヌを人に馴れさせる(社会化させる)のは、イヌを育てる中でもっとも簡単で楽しいトレーニングです。子イヌは定期的に継続して様々な人(特に見知らぬ人、男性、子ども)と接し、遊ぶことによって、人が大好きなイヌに育ちます。
のんびりしていられない!
年をとったイヌでも新しい芸を身につけることはできますし、成犬になってからでも基本的なしつけやマナー(トイレ、何を噛んでいいのか、いつどれくらいなら吠えていいのか)を学ぶことはできます。
しかし社会化のトレーニングは、12~13週齢が終わるまで(~社会化が効果的に行える期間が終わるまで~)に行わなければなりません。臆病で他人を怖がる成犬でも、時間をかけて修正トレーニングを行うことで、ある程度改善できます
が、子イヌ期に十分トレーニングを受けたイヌのように自信をもって人と接するようにはなりません。
子イヌは2ヶ月齢をこえると人見知りを始め、5~8ヶ月齢で見知らぬ人(特に男性と子ども)を怖がり始めます。子イヌに怖がりや攻撃性の傾向が見え始めるとこれらはすぐに悪化し、正常な社会化が難しくなってきます。子イヌが人を怖がるようになってしまうと、人社会の中で暮らす家庭犬としての将来は不安とストレスに満ちたものになるでしょう。
また、社会化は子イヌのときに特に重要ですが、引き続き成犬になっても日常の中で継続的に様々な人にふれあうことが必要です。子イヌのときに十分に社会化を経験していても、成犬になって、飼い主以外の人から、隔離された環境に置かれた場合、再び知らない人のことを怖がるようになる可能性があります。
成犬になっても友好的な気質を維持させるためには、子イヌの時期に人に対して十分に社会化させ、自信と社会的マナーを身につけさせることが必要不可欠といえます。
もし、あなたの子イヌまたは若年期のイヌが、見知らぬ人に対してシャイであったり、怖がったりするようであったら、急いで社会化の修正をしなければいけません。すぐに、専門家に相談してください。
新生児期のハンドリング(0~3週齢)
身体を触られることを好きにさせるためには、新生児期からハンドリングのトレーニングを始めることが重要です。子イヌは新生児期に味覚、嗅覚、触覚を発達させます。
さらに、この時期であれば、見知らぬ人でも怖がらずに受け入れます。家族や友達に子イヌを抱いてもらい、身体中をなでてもらうことを積極的に行ってください。また、急な動きや不意の見慣れない大きな音に慣らすには、目が見え、耳が聞こえ始める2~3週齢に始めるのが最適です。
12週齢までの子イヌの社会化
イヌが家庭犬として幸せに暮らすためには、身の回りのあらゆる人たちに対して友好的に接することができるように教わる必要があります。そのためには、できるだけ毎日子イヌが家族以外の見知らぬ人(特に男性、子ども)とふれあう機会をつくってください。
子イヌの社会化とハンドリングはとても簡単で楽しいトレーニングです。家に来たお客さんや親戚の子ども、また郵便配達の人などに協力してもらい、子イヌを仰向けにだっこして、身体のあらゆる部位(口、耳、手足、陰部など)をやさしくなでて、フードを1~2粒あげてもらいましょう。もし、子イヌが嫌がる場合は、まずは嫌がらない体勢で始め、焦らず徐々に進めていきましょう。なお、苦手な部位を触るときは特別なごほうびを使いましょう。
また、早い時期から社会化トレーニングを十分に受けていても、8週齢くらいになると、子イヌは再度人見知りを始めることがあります。そのため、この時期は特に多くの人とふれあわせましょう。
なお、ワクチンプログラムが修了していない子イヌの社会化、またハンドリングトレーニングでは、必ず靴を脱ぎ、手を消毒してから行うなど、衛生管理を心がけてください。
散歩、パピーパーティー、パピークラスでの社会化
子イヌを散歩に連れて行けるようになったら、まずは、20m進むごとに立ち止まり、オスワリをさせてごほうびをあげます。
そして、誰かとすれちがうときもその都度ごほうびをあげます。女性のときは1粒、男性や子どものときは3粒というようにあたえてください。子イヌが落ちついて見知らぬ人とすれちがうことができるようになったら、次は道や公園で出会う人に頼んで直接手からごほうびをあたえてもらいましょう。
また、パピーパーティーやパピークラスに積極的に参加して、少しでも多くのイヌや人と接する機会をつくってあげてください。