子イヌは、イヌ同士の遊び、人との遊び、トレーニングを通してたくさんかまってやることが大切です。しかし、一方で、ひとりでも機嫌良く、行儀良く過ごせるようにしつけることも大切です。そうしなければ、ひとりで置き去りにされたとき、寂しくてどうしようもなくなってしまいます。
イヌにお留守番の方法を教えずに、悪いことをしないでひとりでじっとしていることを要求するのは、まるでイヌとして振る舞うのを否定するようなものです。
突然、誰もいない状態に置かれれば、退屈しのぎのため、あるいは不安を紛らわせるために、噛む・吠える・掘るといったイヌが自然に身につけている行動をとって時間をつぶそうとします。特にひどい状態になると、興奮し続けて同じ場所をぐるぐる回ったり、自分の体を傷つけるようになったり、あえぎながら1日を過ごすことがあります。
お留守番トレーニングのポイント
その1 “イヌの居場所”をつくる
その2 暇つぶしの道具をあたえる
その3 飼い主が家にいる状況でお留守番の練習をする
特別な場所
イヌは自分の居場所を求める動物で、自分だけの特別な場所(避難ができて、ものを噛んだり、うたた寝をする場所)を大切にします。犬用ベッドでも構いませんが、同時にトイレトレーニングを進めていく場合は、扉のついたクレートタイプが便利でしょう。
また、車や飛行機で移動させるときに使用したり、一時的にイヌの居場所を制限したいときにも使用できるので、クレートがイヌにとって心地よい場所として習慣化されていると、様々な場面で役に立ちます。
夜は飼い主のベッドで一緒に寝る、家族団らんのときはソファの上、というように、特定の場所を持たないイヌもいますが、それではひとりになったときに安心でき る 場 所 が あ り ま せん。たとえ、飼い主のベッドやソファで過ごす こ と が 多 い イ ヌ でも、自分専用の空間を作ってあげることが、お留守番を上手にできるようになるポイントです。
子イヌが自分の居場所を好きになるようにする
では、どうすれば飼い主が決めた場所をイヌが気に入ってくれるようになるの
でしょうか?
まず、子イヌの食事はコングなどの噛むオモチャに詰めてクレートの中に入れます。クレートの扉は開けた状態にしておきましょう。オモチャをクレートの外に出すようであれば、紐でクレートの内側にくくりつけておくとよいでしょう。子イヌがクレートの中で噛むオモチャを大人しく噛んでいれば、やさしくほめ言葉をかけてあげ、そっと扉を閉めてもかまいません。
ただし、クレートの中での排泄を防ぐために、初めはイヌを長時間クレートの中に閉じ込めないようにしてください。なかなか自分からクレートの中に入ろうとしない場合は、まずはクレートの上半分を外した状態で練習してみましょう。
また、イヌを外に出したまま、オモチャを中に入れて扉を閉めてしばらく待ち、イヌのクレートに入りたい気持ちを高めてから扉を開けてやると、イヌは自分から進んでクレートの中に入るようになります。食べ物を詰めたオモチャを使うことで、子イヌは居場所を制限されても、楽しんで過ごせるようになります。
さらに、クレートの中にマットやクッションを入れてあげると、イヌにとってより居心地の良い空間になるでしょう。
暇つぶし道具
私たちが本もテレビもパソコンも何もない部屋で数時間過ごさなければいけないことを想像してみてください。人間と同様に、何もしてはいけないというのはイヌにとっても苦痛なことです。お留守番をさせるときは、イヌがひとりでも楽しめる遊び道具をあたえてあげましょう。一番簡単な方法は、クレートのトレーニングでも用いた、食べ物を詰めた噛むオモチャをあたえることです。
ドライフードの中にジャーキーを混ぜたり、ペーストタイプのものを側面に塗りつけたりして、イヌが長時間噛むオモチャに夢中になるように工夫してみてください。あっという間に食べてしまうイヌには、水でふやかしたフードを詰めたものを凍らせてからあたえると長持ちします。
(詳しくは「家具を噛まないためのトレーニング」をご覧ください)
まずは、飼い主が家にいるときにお留守番の模擬練習を!
子イヌが“自分の居場所”の中で暇つぶし道具で遊びながらひとりで過ごせるようになったら、飼い主が家にいるときにお留守番の模擬練習をしましょう。
子イヌが家に来てからしばらくは飼い主さんがべったり側にいたのに、ある日突然8時間のお留守番をさせられたら、子イヌは不安で仕方がなくなるでしょう。
まずは、隣の部屋にクレートを置いてひとりで過ごさせる練習から始めます。
子イヌがひとりでおとなしく過ごせていたら、ほめ言葉をかけ、クレートから出して一緒に遊んであげましょう。このとき、初めから長時間ひとりにさせるのではなく、初めは1~2分、そして、5分、10分、30分、1時間…というように徐々に時間を延ばしていきましょう。最終的に、実際のお留守番と同じ状況を設定して練習してみましょう。
このように、飼い主が家にいるときにお留守番の模擬練習をしておくことで、実際のお留守番でも安心して過ごせるようになります。
トイレトレーニング
部屋の中でのトイレをマスターさせることで、安心してお留守番させることができます。(詳しくは、「トイレトレーニング」をご覧ください)