家庭では、イヌに子どもと仲良く付き合うためのルールを教える必要があります。そして、子どもにもイヌをどのように扱ったらいいのか教えましょう。
イヌが新しい家族になる前に
理想としては、イヌが家に来る前にあらかじめイヌのトレーニングの方法を子どもに教えておきましょう。力を使わず、簡単で楽しい、ごほうびを使ったトレーニング方法を学ぶことで、幼い子どもでもしっかりとイヌをコントロールできるようになります。
子イヌのしつけ教室への見学は、子どもがトレーニングの方法を学ぶための良い機会と言えます。子イヌのしつけ教室の大きな目的のひとつは、参加している子イヌが少しでも多くの子どもとふれあうことです。そのため、子どもを連れてのクラス見学は大歓迎されるでしょう。できれば、成犬クラスも見学し、子どもには様々なイヌと十分に接触させましょう。
子イヌを決定するときは、家族全員(特に子ども)が気に入ったイヌを選び、さらに実際に扱ってみて子どもでも簡単にコントロールできるイヌかどうかを確認してから家に連れて帰ってください。
イヌに家庭のマナーを教える
子どもの成長にイヌは大きな影響を及ぼします。イヌを正しく理解し、尊重し、ドッグトレーニングによってきちんとコントロールできるようになることで、子どもは自信と自尊心を身につけることができます。
そのためには、まず大人がイヌに行儀良く振る舞う方法を教えなければなりません。次に、大人が子どもにマナーが良くなったイヌにどのように対応するかを教えます。
まずは、大人がフードを使って子イヌにオイデ・オスワリ・フセなど、イヌをコントロールするための基本的なコマンドを教えましょう。
また、タテやロールオーバー(ごろんと寝ること)を教えておくと、獣医さんで身体を検査されるときなどに便利です。
さらに、子イヌを抱っこして口・耳・足・お尻などを撫でながら手からフードをあたえ、身体を触られることを好きにさせておきましょう。
イヌへの振る舞い方を子どもに教える
家に子イヌがきてしばらくは、子イヌの食事は子どもの手からあたえましょう。そして、時々子どもからおいしいおやつをあげるようにします。こうすることで子イヌは、子どもはフードをくれるうえに、時々おいしいおやつまでくれる存在であると学習し、子どもが近づくと喜ぶようになります。
また、大人が十分にトレーニングし、子イヌがコマンドを覚え、身体を触られることが好きになったら、次は、子どもがトレーニングの方法を学びます。
子どもも大人と同じように自分のイヌをコントロールできなければなりません。まずは、子どもにオイデの方法を教えましょう。イヌを呼ぶときはじっと立って楽しそうに話しかけること、また、イヌが寄ってきたらごほうびをあげて、たくさんほめることなど、大人が見本を見せながら教えましょう。
そのとき、子どもからはドライフードだけでなく、おいしいおやつをあたえるようにしてください。そうすることで、子イヌにとって子どもとのトレーニングは特別楽しい時間になるでしょう。
子イヌが子どもの指示に喜んで従い、オスワリやフセをするということは、子どもが要求したことに対して子イヌが同意したということです。そして、このようにイヌが自分から喜んで子どもの指示に従うようにさせることこそが、家庭犬のトレーニングを上手くいかせる最大のコツなのです。
子どもが子イヌと遊ぶ前は必ず短いトレーニングをしてから遊ばせるようにすると良いでしょう。
また、リードを付けずに子イヌと子どもが交わることのできる家族参加型の 子 イヌのしつ け教室は、これらのことを学べる絶好の機会です。
なお、子どもがイヌにオイデ・オスワリ・フセをさせられるようになり、イヌを完全にコントロールできるようになるまでは、子どもとイヌだけにさせないほうが良いでしょう。
子どもがいない家庭であっても、子イヌが大きくなってから見知らぬ子どもと出会ったときなどに、子どもを怖がらずに落ちついて対応できるようにしておく必要があります。子イヌが家に来て初めての3ヶ月間は、親戚や近所の子どもを家に招き、手からフードをあたえ、トレーニングをしてもらいましょう。
赤ちゃんが生まれたら
イヌにとって人間の赤ちゃんの存在、また赤ちゃんの行動は全て大好きな刺激になるようにしつけなければなりません。
そのためには、初めからイヌと赤ちゃんをいっしょに過ごさせるようにしてください。赤ちゃんに食事をさせるときやおしめを替えるときは、同時にイヌにも手でフードをあたえてください。
また、赤ちゃんが泣いたら抱き上げ、イヌを呼び、赤ちゃんをあやしながらイヌにおやつをあげます。(いつでもイヌにごほうびをあげられるように、部屋のいたる所にフードを入れたビンを置いておきましょう。)
このようにすることで、イヌはすぐに、赤ちゃんが食事するときや泣き始めたときは、自分にとって楽しいことが起きると予測するようになります。
中には赤ちゃんが泣くと、ごほうびをもらうためにすぐに知らせに来てくれる
ようになるイヌもいます。(そうなれば、“汚れたおしめ探知犬”の誕生です!)