子イヌはあっという間に大きくなります。子犬のときから正しくトレーニングして、気だてがよく、従順で、とてもお行儀のいい成犬にしつけましょう。
子イヌを探すまえに
子イヌを飼うまえに、どんな種類の子イヌを探すか、どうやって育てしつけるか、を飼い主がきちんと勉強しなければいけません。ぜひ子イヌが家に来る前に『子イヌを飼うまえに』を読んでください。そして、子イヌを家に迎えるまでに、クレート、噛むオモチャのコングを6個、フリーズドライのレバーのおやつを1袋用意しておきましょう。
どんな子イヌを飼うか
どんな犬種、タイプ、大きさ、運動量、毛の色や長さ、性別、の子イヌを飼うかは、個人の自由であり、飼い主の家族で決めてください。家族全員で相談してどんな子イヌを飼うかが決まったら、近くの動物愛護施設やしつけ教室に行ったり、知り合いの人にお願いして、選んだタイプの成犬を少なくとも6頭探し、「試運転」させてもらいましょう。
成犬を試運転すれば、どんなしつけの本やビデオから学ぶよりもはるかに、子イヌが成長するとどうなるのかがよく分かります。
また、子イヌを飼う前に、イヌをしつけたりコントロールする方法を理解できるようになります。
車を買うとき、まず車の運転方法を学び、そして気に入った車を選びますよね。イヌを選ぶのも、それとほとんど変わらないのです。
おそらく皆さんの中には、ペット業界のプロが悪気なく書いた、無責任なアドバイスをつらねた本を読んだ方もいるでしょう。たとえば、子どもがいるならこの犬種はやめたほうがいい、マンションでは大型犬はやめたほうがいい、都会では運動量が多い活発なイヌはやめたほうがいい、といったことです。
実際にはどんな犬種であっても、子どもとすばらしく仲良くできることもあれば、逆に問題を起こすこともあります。それは子イヌと子どもの両方が、仲良くやっていくにはどう振舞えばよいのかを学んだかどうかで違ってくるのです。
実のところ、大型犬は運動量が少ないため、小型犬よりマンションでの暮らしに早く馴染みます。単に体が大きいので広い場所が必要なだけです。また運動量の多いイヌでも問題なく都会で生活できます。活動的な人でも都会で暮らせるとの同じです。実際には、郊外より都会のイヌの方が頻繁に散歩や運動をさせてもらう傾向があるくらいです。
これからの子イヌとの長い生活を考えると、子イヌがあなたのライフスタイルや生活環境に合わせられるかどうかは、あなたのしつけ方次第なのです。
子イヌを選ぶ
一方で、自分が飼おうとしている子イヌが心身ともに健康であることを見定める方法を知っておくことはきわめて重要です。飼おうとしている子イヌの血統を調べて、祖父母や曾祖父母がすべて長生きしているか、血縁関係に犬種特有の病気を患ったイヌがどれだけいるかを調べましょう。
長寿は、体の健康と行動の健全さをもっともよくあらわす指標です。また、その子孫である子イヌが長生きをするかどうかを予測できます。ですから、よく調べましょう。誰もが子イヌが晩年を迎えるまでずっと一緒に過ごしたいと願っています。
私が初めて飼ったマラミュートは、たった5歳で死んでしまい、胸が張り裂けるようなつらい思いをしました。行動の発達の観点から言うと、子イヌは8週齢になるまでに排泄のしつけと噛むオモチャのトレーニングができており、活発で、友好的で、社交的であり、少なくともオイデ、オスワリ、フセ、ロールオーバーができることが望まれます。生後8週齢にもなって、少しでも怖がることがあれば、それは異常なことです。
子イヌを選ぶときには、室内で人と一緒に暮らし、人の影響を受けながら育ったかどうか確認してください。また、どこにでも排泄するのではなく、犬用トイレを使っているかどうかも確認してください(なぜなら家でも同じことをするからです)。
そして、子イヌのそばに食べ物を詰めた噛むオモチャが置いてあるかどうかも調べてください。ブリーダーには、何人の知らない人-特に男性や子ども-がその子イヌをハンドリングしたり、トレーニングをしたりしたかをたずねてください。
また、あなたも子イヌを抱いたりハンドリングして(押さえつけたり体を調べた、とも言える)、子イヌがどう反応するか見てください。そして、家族全員で、オイデ、オスワリ、フセ、ロールオーバー(ゴロン)をさせてみて、子イヌの学習スピードを確認しましょう。
子イヌを育ててしつける
子イヌが家に来て最初の1週間は、子イヌの生涯でもっとも大切な1週間です。初日から「失敗させない排泄のしつけ」と「噛むオモチャのトレーニング」を始めます。そうすることで、家を排泄物で汚したり、噛んで物を壊したり、むだ吠え、分離不安、といった問題を防ぐことができます。あなたが家にいないときは、サークルなどで、子イヌの居場所を制限しておきましょう(子イヌ用プレイルーム)。
そこには居心地のよいベッド、新鮮な水、食べ物を詰めた噛むオモチャ、一時的な室内トイレを用意してください。こうすることで、子イヌの家の中でのいたずらを防ぎ、同時に、子イヌが噛むオモチャを噛み、自分のトイレを使用するように仕向けることができます。
家にいるときでも、子イヌに注意が払えないときは、短時間、狭い場所(犬小屋かクレート)に子イヌを入れて、そこには食べ物を詰めた噛むオモチャを2、3個一緒に入れておいてやります。
そうすれば、上記と同様に、子イヌが家の中でいたずらをすることを防ぎ、噛むオモチャを噛む可能性を最大限に高め、いつ子イヌが排泄したくなるかを予測することができます。子イヌがいつ排泄したくなるかが分かれば、排泄のしつけは簡単です。なぜなら子イヌにどこで排泄するかを教え、正しい場所でしたことを褒めてやればいいからです。
具体的に説明しましょう。子イヌをクレートに閉じこめると、子イヌは寝床を汚したくないので一時的に排泄を我慢します。
そこで、1 時間ごとにクレートから解放して、子イヌをトイレの場所に連れて行けば、すぐにおしっこ(またはうんち)をします。そうしたら、ご褒美にレバーのおやつをあげます。排泄のしつけの詳しい説明については、ブループリント「排泄のしつけ」をぜひご活用ください。
居場所の制限は、子イヌが家庭のマナーを学ぶまでの一時的なトレーニング方法です。子イヌがしっかり学習したら、残りの生涯はずっと、家の中を自由に行き来させることができるようになります。