パピートレーニング

子イヌのうちにしておかなければいけないトレーニングとはいったいどんなことなのでしょうか?


パピークラスの意義とは?

パピークラス(子イヌのしつけ教室)で、子イヌ同士が楽しそうに遊んだり、飼い主の号令やハンドシグナルに応えて上手にオスワリ・フセ・オイデなどができると、多くの飼い主はそれだけで安心してしまい、パピークラスの最も重要なポイントを忘れてしまいがちです。

それは、咬みつく加減を学ぶことと、いろいろなタイプの人間に慣れさせることです。子イヌは他のイヌとのケンカ遊びの中で咬みつく力の加減を学ぶことができます。また、たくさんの人間が集まるしつけ教室は、いろいろなタイプの人間にふれあわせる重要な機会となります。

基本的なマナー

オスワリ・フセ・オイデ・ツケ・マテなどを教えるコマンドトレーニングは、自分のイヌの姿勢や行動、また居場所をコントロールするためにとても重要です。そして、このようなコマンドトレーニングは何歳になっても教えることは可能ですが、子イヌの頃にトレーニングする方が簡単で、時間もかからず楽しく行うことができます。

飼い主が先手を打つ!

深刻なケースを除き、何歳であっても、イヌの行動はある程度修正することができます。ただ、年をとっていたり、それまでに全く人とのトレーニングを経験したことがないイヌほど修正が難しくなります。

イヌの行動を修正するには、まず望ましくない癖を直すことから始めなければならず、根気と時間のかかる作業となります。それに比べ、困る癖が身につく前、飼い始めたときから正しい振る舞い方を教える方が簡単で効率的です。

つまり、イヌが勝手に自分で学習してしまう前に、家の中で何を噛めば良いの、どこに排泄すれば良いのか、いつなら吠えていいか、リードを付けて散歩するときにはどのようにすれば良いか、人とあいさつするときはどうしたらいいか、ということを教えるのです。

タイミングが大事!~社会化~

ほとんどの子イヌは、誰にでもなつき、いろいろな物や刺激を怖がることなく受け入れます。しかし、この性質は大人になってもずっと続くわけではありません。4~5ヶ月齢を過ぎたあたりから、徐々に警戒心が強くなっていき、それまでに経験したことがない刺激に対しては、極度に怖がったり、攻撃的になったりすることがあります。

どこに行ってもパニックを起こすことなく落ちついて過ごせるようになるためには、警戒心が強くなるまえに、いろいろな刺激に慣れさせる“予防”が重要です。したがって、社会化のトレーニングはコマンドトレーニングなどと違って、子イヌの時期に必ず行っておかなければいけないトレーニングなのです。

人に慣れさせるためのトレーニングでは、家族だけでなく、男性・子ども・獣医師・トリマー・お年寄りなど、将来接する可能性がある様々なタイプの人間とふれあう機会を作ります。そして、抱いてもらったり、身体のあらゆる部位(特に、耳やお腹や尾っぽなど普段あまり触れられないところ)をさわってフードをあたえてもらいます。

触られることと良い経験を結びつけることで、知らない人は怖い存在ではなく、楽しい存在であるということをイヌに学習させるのです。パピークラスに参加することも、様々なタイプの人間とふれあえる良い機会になるでしょう。

その他にも、子イヌのうちに他のイヌと遊ぶ機会を作ったり、車・電車・掃除機などの生活音に慣れさせる、また、花火・雷など、将来イヌが恐怖に感じる可能性の高い刺激を経験させておくことも社会化トレーニングとして重要です。子イヌが何か特定の刺激を少しでも怖がっているのなら、できるだけ早いうちに克服させなければいけません。その刺激を暴露すると同時に、フードやオモチャなどイヌにとって嬉しいものをあたえることで、良い経験と結びつけるようにしていきましょう。

家庭犬にとって最も重要なこと

家庭犬として生きていくためには、どんな状況であっても人を傷つけないように育てる必要があります。恐怖に感じたときや自分の身を守らなければいけないときに攻撃的になるのはイヌとして当たり前の行動です。

しかし、子イヌの時期に咬みつきの抑制を教えていれば、何か突発的なことが起きても相手を傷つけることはありません。たとえば、イヌが骨を噛んでいるときに、近くで子どもがつまずいてイヌの上に転んで倒れるというトラブルが起きたとき、どんなイヌでもびっくりして何らかの反応を起こします。

しかし、咬みつきの抑制をしっかり身につけているイヌであれば、「キャン!」と鳴くか、「うぅー」と唸るか、パクッと空咬みする程度で、相手を傷つけることはほとんどありません。ところが、子イヌの時期に咬みつきの抑制を学習していない犬の場合は、ガブリと深く咬みついて相手に深刻なケガをさせてしまう危険があります。

咬みつきの抑制トレーニングは、子イヌの時期にイヌ同士でケンカ遊びをしながら学びます。また、イヌが人の手を甘咬みしたときに適切な対応をすることで人を咬んではいけないことを学習します。

これらは、子イヌのしつけ教室に通うことで、十分に学ぶ機会を得ることができます。